この春から、桜上水にある有限会社まるみさんで社員さんのサポートをしています。
まるみさんは、20年前に名刺印刷の専門会社としてスタートし、現在では名刺制作の技術を活かして封筒やチラシ、冊子などの印刷媒体から、WEBサイトの制作やDMの発送代行など、オフィスを支援する様々なサービスを提供しています。
そして東京都で初めて認証された「ソーシャルファーム 認定事業所」です。
ソーシャルファーム とは、働く意欲も能力もあるけれど、うつやコミュニケーションに課題があり、普通に務めることが辛かったり難しい人たちが自分らしく働ける環境づくりをしている事業者です。
まるみさんでは、本当に心根のやさしい12名の社員さんが、それぞれの持ち味を活かした業務をされていています。
デザイン、印刷制作、事務代行と業務も多様で、事務所内も資料やストックなどが山積みになっていたり、デスクの配置や作業スペースにも課題が多かったことから、お片付けとプチリノベーションがスタートしました。
デザインとインテリア、そして大工のスキルがある社員のKさんをプロジェクトリーダーに。
ストックや山になった資料の整理をしながら何度もプランを検討。
限られた予算をやりくりしながらも、Kさんの「なんとか木のある空間を」との熱い思いで、
社員のみなさんひとりひとりが気持ちよく仕事ができ、また杉の香りに包まれる木の空間づくりを目指しました。
全ての社員さん、一人ひとりが心地よく働ける空間づくりとは?
■だれでもどこでもありがち・・・「とりあえずここに」の山
まるみさんは、数年前に新宿から桜上水に事務所を引越されました。
どこの会社もそうですが、引越しした後、とりあえずの配置や段ボールがそのままになってしまうことは多いと思います。
まるみさんの場合はそれに加えて、印刷用紙や制作物のストック、発送代行業務で預かっているお取引先の資料など、実に様々なものが事務所のあちらこちらで山になっていました。
また、名刺やトランプ印刷の機械やカッターのように制作するスペースと静かに集中して作業したいデザイナー、封入や発送作業のためにあちこちに移動している社員さんと、いろいろな作業が渾然一体とした感がありました。
とはいうものの、社員さん全員が毎日同じ時間で働いているわけではありません。
それぞれ、自分のペースに合わせて、週に3〜5日の間で、決まった曜日に来られます。
時間も朝から1日の人もいれば、午後から数時間の人、どうしても夕方からしか来れない人など、ある意味もしかしたら時代の先端のようなフレキシブルなシフトで、なおかつ、その時々にできる仕事を社長がきめ細かくマネジメントされています。
(本当に社長の三鴨さんには頭が下がります。。。)
三鴨さんは「とにかく断捨離して片付けたいのと、業務によって使う机やPCも錯綜気味なので整理したい」との思いでスタートしました。
■断捨離ではなく、収納とレイアウトで改善できる。
当初はとにかく「断捨離したい」というお話でしたが、よくよく見ていくと捨てるものはさほど多くなく、むしろストックスペースや棚などモノを片付ける場所がなく、また、それぞれの業務に必要な物や担当者がバラバラにある状態でした。
むしろ思ったほどには物はなく、ただ、空間が無駄に使われていて雑然としていたことと、それぞれの人にとって、落ち着いて働ける環境がない、、、ということが大きな課題として上がってきました。
なので、最初は片付けの収納機能の確保、業務別に事務所のゾーニングを考えることからスタートしました。
デザイナーで大工もできるリーダーのKさん。手先も器用で素敵なセンスをお持ちです。
Kさんが普段感じている社内の様子や彼がみなさんに丁寧にヒヤリングした内容を元に、雑然とした物の整理場所と錯綜する導線、それと社員さん一人ひとりの働きにくさの解決を目指して、何度もプランを練り直しました。
また、予算少々で、ストックスペースをロールスクリーン で覆うなど検討していましたが、やはり無機質なオフィスではなく、木の素材感のあるここちいいオフィス空間にしたい!との想いで、予算に合わせた材料と造作を検討しながら進めました。
■改装ポイントは、社員さんそれぞれの働きやすさと収納、+ここちいい空間
大きくは、業務内容に合わせて4つのゾーンに整理しながら、ここが最後まで難しかったのですが、仕事する上での個々人の距離感とコミュニケーションの取り方に配慮した配置に、最後まで悩みに悩みました。
普通、部署や業務によってゾーニングし、デスクの配置などもある程度機械的にすることが多いです。
ですがまるみさんでは、みなさんとてもやさしい人たちばかりなのですが、反対に一人ひとり繊細だったり、少しコミュニケーションが苦手だったり、音や光が苦手だったりと、それぞれの感性や環境への接し方が個性的です。
その中で、一人ひとりの心地よさと業務上のオペレーションの整合をとること、また、これまで個々での仕事が多かった環境から、少しでも協同作業やコミュニケーションを取りやすい環境にしたいとの想いでできたプランです。
同時に、発送作業の多い入り口回りからミーティングルームを外部に開いた環境にし、木質化することにしました。
■1ヶ月徐々に片付けを進め、最後に社員さんみなさんで改装&DIY
事務所の片付け作業とレイアウト替え、そして壁と棚をつくるDIY工事。
業務をしながら進めるために、片付けは1ヶ月かけて週1〜2で行い、同時に少しずつプランに合わせて家具の移動。
そしてGW前の土曜日に全員参加で最後の配置換えをしました! 終わったあとは、みなさんでやっぽー!
杉材のカフェ板や柱材が次々届き、足の踏み場もありません。
そしてGW明けまでに、Kさんと有志でDIY工事をしました。もうKさんの独断場!さくさく作っていきます。
インパクト片手にウィーンウィーン。早い早い。
最初の職場が舞台デザインの会社だったそうで、デザインしてとにかく作り撮影する。。楽しいながらもハードな職場だったそう。
そしてここに登場してくれるのは、まるみさんの秘密兵器?ミスターMです^^
サーバー環境周りを始め、PCのシステムからセキュリティ、デジタル周りのハードからソフトまで一手に引き受けている、ミスターM。
007にも出てきますよね、「M」
いつも怪しげな最新兵器で007を救ってくれるあのお方。まるであの「M」のようなMさん。
今回もレイアウト全変更に伴い、サーバーの再設定から配線工事まで、まるみさんの心臓部をしっかり守ってくれました。
本当に心強い!!そして主に夜作業に力を発揮されるので、まるで靴屋の小人さんのよう。
知らない間に工事は終わっていました。。。。
そして次の日も、もくもくと作り続けるKさん。
壁際の棚カウンター、オフィスとミーティングコーナーのパーテーション、そして、最後にストックスペースの壁。。
最後に、パーテーションにプラダンを貼り、飾り棚を取り付けて完成!!
お疲れ様でした〜!
■「木」の温かみと、ここちいい「気」が通る空間に
それぞれの業務ごとに整理したオフィスのレイアウトですっきりとした空間の中に、木の温もりを感じる環境になりました。
社員さん一人ひとり。スムーズに落ち着いて仕事ができるようになったようです。
今回のお片付け&改装の一番の目的は、まるみさんの社員さん一人ひとりの持ち味が光る、楽しく仕事ができる環境づくり。
「仕事がしやすくなったよ」「ミーティングルームが素敵になったよ」と。
1ヶ月かけて、社員さんみんなで少しずつ進めたお片付けも楽しかったです。
掃除機好きの三鴨社長。毎日の掃除でゴミ一つなく、とても木(気)のいいオフィスです^^